『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』Blu-ray&DVD発売前夜マトーク レポート
5月27日に発売となった『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のBlu-ray&DVD発売前夜となる5月26日、「Blu-ray&DVD 発売前夜マトーク」と題された上映&トークイベントが開催された。登壇者は、総監督の出渕裕さん、チーフメカニカルディレクターの西井正典さん、桐生美影役の中村繪里子さん。 『ヤマト2199』シリーズの大きな締めになるトークイベントということで、まずは2013年からスタートしたイベントの振り返りからスタート。今回のゲスト3人がオフィシャルイベントへの出演回数TOP3との説明があった後に、スクリーンには2012年2月18日開催の「宇宙戦艦ヤマト2199 発進式~俺たちのヤマトSP~」から、今回のイベントまでのリストが投影。会場からもそれぞれのイベントを思い出しているような頷きや声が漏れ聞こえてきた。 その後、話は『星巡る方舟』のメインヒロイン桐生美影へと移っていく。シリーズ途中で登場する役柄であり、『星巡る方舟』のストーリーを知らずにイベントに参加することになった中村さんは、イベント出演のために「徹夜でシリーズ本編を観なおし、そのままのテンションで会場入りしました」「キャストというよりは、まるでファンでした」とのエピソードを披露。出渕さんからは「そのテンションは、ファンのみなさんから親近感を持っていただけて良かったかも」「ラジオ(『YRAラジオヤマト』)もやっていただいて、本当にありがとうございました」と、『星巡る方舟』の宣伝と普及への貢献に感謝の言葉が述べられた。 次のトークテーマは桐生美影。『星巡る方舟』のアフレコ前から『YRAラジオヤマト』内でラジオドラマがあったことで、「明るくて快活でちょっとおっちょこちょいな岬百合亜とは対照的に描かれるため、ちょっとクールな感じもあったんですが、どんどん可愛らしい部分が出てきました」という中村さんに、出渕さんが「おっちょこちょいの部分はあったよね、遅刻魔だし」と『星巡る方舟』で明確になった部分もプラス。『星巡る方舟』のストーリーが出来てきた段階で「桐生が持っているイメージがシャンブロウで現出される。なら、なんらかの属性を持たせた方が面白いかな」と考えていく中で「西井さんから戦艦大和を出そうというアイデアが出た。他にも絵画とか本とか…。そういう属性や趣味性がやがて桐生のキャラクター性へつながっていった」と説明してくれた。 その後、この日も上映された『星巡る方舟』Blu-ray ver.の話へと移り、上映版からバージョンアップされたポイントが紹介された。 その一例として、西井さんは「バーガーの回想シーン、中村さんに兼ね役をしてもらっているメリアを助けられなかったシーンは、じつは出渕さんが自分で描き直しています」と暴露。他にも「方舟が飛び立つ時、レーレライの後ろでジレル人が並んでいるカット」も出渕さんが原図を手がけているという。一方、出渕さんは演技面での追加を紹介。「後方観測室で古代と雪、島、玲が記念撮影をするシーンでは、雪と古代が挨拶している後ろでムッとする玲の表情。レーレライが登場した後ろで、美影と沢村がいるあたりは芝居も変えています」「でも、こういう話をすると、手前にいる古代やバーガーではなく、そっちに目が行くから気づかなくてもいいんです」。注目されるされないに関わらず、作品世界を作る「制作者がこだわるべき部分」が追加されたという。 もちろんメカシーンでも同様な修正が行われている。西井さんからは、解りやすい例として、「火焔直撃砲がヤマトの舷側展望室を壊したカット」「戦闘のラスト近辺でボロボロになっているミランガル」など、設定はあったものの上映時には作業が間に合わなかったカットが幾つかあり、まるまる直していると紹介があった。また、じつは今回の修正では、作画以外、「撮影部分で質感や空気感などをプラスする処理が最も多い」そうだ。修正箇所の総数は約600。全体の1/3~2/5程度に及ぶ。
今回の「ヤマトーク」をもって、現在予定されている『宇宙戦艦ヤマト2199』関連イベントは終了となる。その最後の挨拶で、総監督の出渕さんは制作に関わってからの約8年を振り返り、「最初の約4年はどうなるか分からない状態で進んでいました。ですが、実働していた4年は僕らスタッフだけが旅をしていたわけではなく、ご覧になっていただいたみなさんと一緒に旅をしていたというのが本当の気持ちです。お付き合いいただき本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えた。西井さんは「8年は長いです(笑)。とはいえ、やり続けた結果、今があります。本当にありがたいことだなと思います。またこういう機会があった時に、こうやって集まってくれるみなさんがいたら嬉しいです」とコメント。中村さんからも「2014年のアニメジャパンで初めて『ヤマト2199』のイベントに出演させていただいてから1年とちょっと。こんなにも楽しい思いを『ヤマト2199』で経験させていただいたんだなと、改めて噛み締めています。またみなさんとお会いしたいという願いは、みなさんに託させていただきます」と、作品や関連イベントが終わる寂しさの中に、ファンだけではなくスタッフ・キャストの中にも終わらない気持ちがあることを感じさせてくれた。なお、最後の最後で出渕さんが司会者にもコメントを求め、今回も予定時間をオーバー。「ヤマトーク」としてお約束になってしまった感のある、話途中で終了を迎えることになった。